「デフレ下での、公共事業の 事業効果分析」 について

の続きです。   NO.1 に続いて ご覧ください。




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総合考察

中央政府の公共事業のGDPに対する効果

1998年~2010年までのマクロデータを用いた、階層重回帰分析を行った結果、中央政府の公共事業を1兆円行うことで、約5兆円程度の名目GDPの増進が見込まれる可能性がある。

1.8 %のデフレータ下落の抑止や向上が示された。

中央政府が公共事業を増やすことで、デフレが抑止され、名目GDPが拡大していく結果が示された。

  

中央と地方の公共事業費は、共に連動して増減しているが、その両者の相関係数は、実に0.95であることから、その両者の連動は極めて強い

   この両者が連動している背景は、公共事業の多くが、中央政府と地方政府が協力し、両者が共に財源を拠出しながら遂行するという実態がある。

中央政府が公共事業費を増やせば、それに連動して地方政府も公共事業費を増やすという帰結が導かれる。

中央政府が逆に公共事業費を削れば、同じくそれに連動して地方政府も公共事業費を減らすという帰結がある。

   中央政府の公共事業がGDPを押し上げるプロセスとしては、

中央政府が公共事業を拡大する。

それにあわせて地方政府が公共事業を拡大する。

中央政府と地方政府双方の公共事業費がGDPを拡大させ、デフレータを縮小さ せる。







公共事業の波及的な事業効果

税収は、中央の公共事業1兆円あたり、その1兆円という支出額を大きく上回る1.6兆円」という水準で増加するという結果が得られた。



中央の公共事業を1兆円削減すると、1.6兆円の税収が縮小してきた可能性が示唆された。



税収は98年当時に比べて10兆円弱も減少してきている。その背後に、政府による公共事業の削減が大きく横たわっている可能性がある。



2012年現在、政府の財政を改善するために消費税増税が国会を中心に議論されている。

そうした増税を行わずに、中央政府の公共事業を逆説的にも「拡大」し、それを通して景気を活性化し、法人税、消費税、所得税などの税収の増進を図る、という積極的な財政改善方策が有効であるという可能性が、以上の統計分析結果から示唆された。



失業率は、中央の公共事業1兆円あたり、0.14 %失業率が減少する。

現在の失業者数が約6,300万人に置き換えると、公共事業1兆円あたり、約8.8万人失業者が減少することになる。

公共事業を1兆円減らすと、約8.8万人もの失業者が増えてしまう



生活保護を受ける者の数も、公共事業1兆円あたり、約10万人である。

生活保護受給者数は、失業者数よりも幾分高い感度で増減する傾向がある。



給与所得者の平均給与は、中央の公共事業1兆円あたり約7万円増加する。

現在の給与所得者総数が約5,400万人であることを踏まえると、中央の公共事業の1兆円の増額は、日本全体の給与所得者の約3.8兆円の所得増に結びついている。



中央の公共事業で名目GDPが約5兆円増加していると考えると、その四分の三程度が、給与所得者の給与の増加に寄与している。



出生数は、1兆円の公共事業の増進が、給与所得の増加を通して、1.7万人の出生数の  増加に結びついている。現状の出生総数が年間約110万人であることから、中央の公共事業1兆円で、出生数が1.5 %程度も増加する。



デフレ期に突入してから、年間の出生数が約13万人も下落しているが、これは、デフレの深刻化によって名目GDPが減少し、それを通して各世帯の所得が減少し、それを原因として各世帯で子供をつくる傾向が低減し、その結果として、出生数が13万人も下落してしまった。中央政府の公共事業の増進が、人口減少に歯止めをかける可能性がある、ということを、以上の分析結果が示唆している.







外需主導型景気対策の限定性

内需主導型の景気対策の代表的な手法である中央政府による公共事業の遂行には、多様な事業効果が様々な側面に対して存在している。

外需主導型の景気対策は、その事業効果は限定的である。効果が統計的に検出された項目数も一部に限られており(名目GDP、総税収、完全失業率の3つのみ)

それらの項目の効果のサイズも、公共事業費のそれの「6分の1から3分の1程度」し  かないという結果であった。







公共事業関連企業の方が、輸出企業よりも国内産業との連関性が高く、

かつ、収益を労働者に分配する傾向が、相対的に高いと想定される。









経済成長策には、公共投資による(ニューディール政策など)内需主導型と、輸出を伸ばす 外需主導型があります。この研究で、国による公共投資が 日本国内の産業との関連性が高く、収益を労働者に分配する傾向が高いことが分かりました。
国債発行など、国の借金残高も1000兆円と言われる中で消費税も上がります。財政再建と経済の再生、相反することを同時にやるには、理想としては、日本国内のすべての産業がどんどん経済活性して、税収を増やすことだと思いますが、この理想は、なかなか実現しません。


私は、輸出を伸ばす外需主導型の産業を否定するものではありません。京丹後市の経済状況もよくありませんし、新聞記事にもありましたが、活気があるとされている大宮バイパス沿いの店舗は、市内資本ではなく市外の大手資本が大勢をしめているのが現状です。私達消費者としては嬉しい気持ちもありますが、複雑な思いです。現実として社会保障費は年々、ものすごい勢いで増え続けています。

 
今こそ、この研究によって明らかになった、公共事業の事業効果を認識し、国も地方も、そしてこの 京丹後市でも、この公共投資による内需主導型の経済成長策を理解し、今、我が市でできることを、さらに進めるべきだと思います。

 

今の 金田そうじん の思いです。   最後まで読んで頂き、 ありがとうございました。