自民党京都府連 第65回定期大会が、京都産業会館シルクホールで開かれました。
西田昌司 府連会長の挨拶の後、 山田知事が来賓のあいさつの中で、 「アベノミクスで景気に光が指してきたが、同時に影 も出てきた。 その一例が 建設現場における 人出不足であり、国にとって とても大きな問題だ」 と述べられました。
この問題への対応について、みなさん色々と言われておりますが、私は 次のように考えています。 是非みなさん、ご理解頂きたいと思います。
今、建設業界において、東日本大震災の復興工事や、東京オリンピックの施設整備工事などで建設工事の需要が急増し、各建設会社では、1級、2級土木施工管理技士や特殊技能者、重機のオペレーター、さらには一般作業員まで不足しており、危機的な状況になっています。
普通に考えますと建設業界にとって忙しくなることについては、喜ばしいことです。 しかし、それが ちっとも良くないんです。
元々、現在の状況は (この約10年間) 公共工事において、工事金額の最低制限価格が低過ぎるので、基本的に利益がでません。民間の工事も それに引っ張られる形で 低価格競争となっていき、おしなべて利益が出なくなっていきました。 儲からないので、企業として成り立っていないのです。
そのため、建設会社が取り組んだ事は、先ず、規模の縮小、従業員数を減らし、重機やダンプカーなどを処分して設備面を縮小、そして、社員の給料を減らしていきました。
お盆や正月のボーナスは無し。 忘年会、新年会、社員旅行など全て取り止め。 日本中の建設会社がこの様な事になると、それはそれは、地方の経済は当然、元気が無くなります。
そんな状況を見て、建設業に従事していた 優秀な技術者たちが、建設業の将来を悲観して この仕事から離れていく、私が建設業をやめた時にも、優秀な人材が 他職に移りました。
そして今は、元々この仕事は3 K (きつい、汚ない、危険) の上、さらに、給料が安いとなれば、人材は集まりません。
では、どうすればいいか と言う事なんですが、多くのみなさんは、 「人が足りないのであれば、外国人を導入すればいいんじゃないか」 とおっしゃっています。
ちょっと待って下さい! それでは根本的な解決方法とはならないんです。 (但し、誤解の無い様に申し上げますが、私は外国人政策が全面的にダメと言っているのではありません)
みなさん、もう一度よく 思い返してみて下さい。 公共事業(公共工事) で地域の建設業者が潤っていた頃は、みんな、元気が良かったじゃないですか。
全国の地方都市も 元気があった。 地域の建設会社が潤うと、忘年会、新年会、社員と共に飲食店に行く、建設資材は地元の業者から購入する、その上、買物は積極的。 地域にお金が回り、循環型社会の典型ですね。
それが、10年ほど前から 崩れてきました。 公共工事の工事金額を抑えられ、安くて利益が出なくなってきた からですよね。
話しを元に戻しますが、 昨今の建設現場の 人出不足を解消するには、 先ず、具体的に言うと、一般作業員などの労務単価や コンクリート製品などの 資材単価を上げて、 公共工事の工事金額を上げることです。 それが従業員の給料に跳ね返ります。
一方で、工事金額を上げると、 国も 地方都市も 財政負担が増す、とも言われますが、その分が社員の給料と、地域に回りますし、会社の利益は、納税となって返ってきます。
私は、議会において、京丹後市の公共工事の 最低制限価格 を上げるべきだ、と強く訴えてきました。 京都府の政策に追随する形で、京丹後市も 少しずつではありますが、上がってきています。
それについては有り難い事ですが、 それでも、まだまだ一定の納税ができる状況にまでは、至っていません。 (業者によって、元々、内容の良い会社と、負債が多い会社とでは、なんとかやっていけそう、か、もう いつ倒産するかわからない、等、大きく差があります )
今、労働力不足だ、と言った指摘は 間違っています。 労働力はあるんです。ただ、建設産業としての労働条件が、国の政策として、悪いだけなんです。 日本に 労働力はあります。
今述べたような手だてを施し、もう一度、建設産業に従事していける仕組みに 変えていきましょう。
これから先、日本がしっかりと 国土を強靭化 して、東京オリンピックを迎えるためには、喫緊の課題として、建設現場の人手不足を 解消しなければなりません。
そのために今すぐ、公共工事の単価を上げて、利益を生む仕組みにして、 若者をはじめ、多くの人達が建設産業に従事する意欲をもてるような 給与水準にしなければなりません。
安易に外国人労働者を迎え入れても、 この問題解決には 至りません。
私たち自身が、建設産業を支え、日本国を支えて、 明るい未来を構築しましょう。
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